月夜のドッグファイト

インターネット日記帳

まことに小さなトレーナーが

ー開花期を迎えようとしている。

 

小さなといえば、レーティング初めのトレーナーほど小さな存在はなかったであろう。

経験といえば四天王をレベル差でフルボッコにしたものしかなく、戦力といえばストーリーの過程で得られたポケモンしかなかった。

wi-fiマッチングの登場によって、トレーナーは手軽なネット対戦環境を得た。

 

誰もが、「対戦者」となった。

 

不慣れながら「対戦者」となったトレーナーは、育成史上の最初の体験者として、その新鮮さに昂揚した。この痛々しいばかりの昂揚が分からなければ、この段階の歴史は分からない。

社会のどういう階層の子でも、どういう家庭の子でもある一定の数値を粘れる気力と根気さえあれば、シングルでも、ダブルでも、トリプルでも、ローテでも遊び得た。

 

今から思えば実に滑稽なことに、御三家と禁伝のほかに主要戦力のないこのトレーナー連中は、玄人と同じ準伝説を持とうとした。めざパ理想個体も同様である。時間の足りるはずがない。

 

が、ともかくも強いパーティを作るというのは、元々対戦参加の大目的であったし、参加後の新トレーナー達の少年のような希望であった。

 

この物語は、その小さなトレーナーがシングルにおいて一つの壁となるレート2000を目指し、どのように振る舞ったかという物語である。ともかく、我々は3人の人物の跡を追わねばならない。

 

地方はイッシュの東に三人の男がいた。この古い社に生まれた「秋山ボルトロス」は、環境が進むにあたり、単独での突破は不可能と言われた受けループを滅ぼす技構成を考え、それを実行した。その兄の「秋山ランドロス」は、独特のタイプを持ち、史上最強といわれたガブリアスのKPを上回るという奇跡を遂げた。もう一人は、複数の特性を持ち、それらを全て有効活用させる万能さを発揮した老人「正岡ローブシン」である。

 

彼らは第六世代という時代の流れの中、前のみを見つめながら歩く。

進んでいく対戦の最中、もしひとつの有効急所が見えるとすれば、それのみを見つめて技を当てていくであろう。